借金15

弁護士や司法書士など、専門資格と知識を有する第三者の力添えを仰ぐことなく、自力で借金問題を解決する選択肢が見過せません。借金問題の内容次第では、専門家に借金問題解決を依頼できない、あるいは引き受けてもらえない、不用意に第三者を立てることで債権者が感情的となるなど、借金問題の対処には細心の注意が望まれます。

ここでは借金を自力で返す選択と、その際に見過ごせない注意点を紹介します。

弁護士など専門家の力添えが仰げないケースとは

借金問題の解決には、弁護士や司法書士への依頼がベストであり、1日も早い相談が欠かせないとの認識が一般的ですが、自力での解決を選択せざるを得ないケースも少なくありません。たとえば相談の結果、専門家の判断では自己破産以外に解決方法が見当たらず、債務者である当事者は、それだけは絶対に回避したい状況があげられます。

仮に任意整理などで和解を成立させたとしても、完済が困難であると判断された場合、債権者への和解交渉依頼を拒否されてしまう場合があります。次に債務整理の途中、定められた返済が滞ってしまい、状況が改善されなければ、弁護士や司法書士は債務者との契約を破棄することで辞任できます。

債務整理中は間に入ってくれていた専門家がいなくなり、債権者からの督促がダイレクトに債務者に届くため、すべてが自己対応せざるを得なくなるケースです。債権者からすれば和解案で大幅に譲歩したにも関わらず、再度の延滞が生じた以上、取り立ては自ずと厳しくなります。

この状況に及び、新たに異なる弁護士に再度相談を持ち掛けたとしても、債務整理の延滞を生じさせた債務者への力添えは、残念ながら望み薄なのが現実です。その他債権者が金融機関など第三者の法人組織ではなく、親族や知人など個人の場合、返済が遅れ始めた早い段階で、いきなり間に弁護士などの専門家を立ててしまうのは危険です。

法律を盾に逃げようとしているなど、債権者に対する印象を悪化させ、相手の感情を害してしまうリスクが見過せません。融資やキャッシングサービスの利用などの契約に基づく借入ではなく、相互信頼関係に基づく「信用借金」の返済延滞の場合、誠心誠意の謝罪からの自己対応が大切です。

何らかのアクシデントで返済が滞るケース

和解案に基づく返済期間は3~5年間と中長期的で、月々定められた金額を分割で支払うスタイルが一般的です。ですがこの期間中、予期せぬ病気やケガ、勤務先の倒産や解雇通告、あるいは住居の火災や天災による被害など、予期せぬ展開が生じる可能性がゼロとは言えません。

そして非常にドライな現実ですが、こうした債務者に悪意や責任が見当たらぬ事情であったにせよ、延滞が許されないのが債務整理です。結果弁護士や司法書士が辞任してしまえば、債権者に対して直接対応せざるを得ません。

こうした状況に置かれてしまった場合、簡単に諦めてしまってはなりません。大切なのは現状を放置せず、少しでも早く自ら各債権者に連絡を取り、現状を正直に伝える初期対応です。債務者の代理人を務めていた専門家が辞任すれば、債権者側は債務者の支払い能力が尽きたとの想定から、態度を硬化して当然です。

債権者側に日増しに疑念と不安が増す状況下、債務者から直接何の連絡も届かなければ「逃げた」との推察につながり兼ねません。まずは事情を問わず、延滞に対する謝罪と、続いて現状を報告し、引き続き完済を目指す意志が揺るがないのであれば、その旨を明確に伝えてください。

この時点で債務者側から、あれこれ希望を一方的に伝えてはなりません。和解に続き、今一度債権者の理解と譲歩をお願いする立場である点を十分に踏まえ、相手の判断を真摯に受け止める姿勢が大切です。再度の和解案を調整を含め、借金の自力返済が継続可能かどうかの結論はこの先の話です。

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病気やケガが理由での延滞の場合

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債務者である自身が病気もしくはケガが理由での延滞の場合、口頭や文章だけでなく、医師の診断書など、公的にそれが事実であることを証明できる書面を準備し、債権者に提出してください。病院側にもキチンと事情を伝え、速やかに手配する対応が重要です。

また職種によってはケガが原因で、出社は可能でも仕事ができないケースも考えられます。勤務先に債務整理の事実を知られたくない場合、何らかの方法でこの事実を債権者側に伝える方法を模索してください。名刺に肩書や担当が明記されていれば、在職証明を兼ねた証拠となりますが、債務整理問題がこじれ、勤務先に連絡されてしまうリスクを想定すると、債権者への提示が難しいのも事実です。

この場面で大切なのは、延滞の理由が虚偽ではないことを、債権者すなわち債権回収業者に対し、真摯に伝えようとする姿勢です。同時に日常生活の他の重要な部分に、金銭的な困窮による弊害が生じないよう、可能な限りの資金繰りを通じ、返済に充当する現金の捻出にも努めてください。

天災や火事の類焼などの人災による延滞の場合

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地震、台風、洪水などの天災、もしくは火事の類焼など、自身に責任が見当たらない人災が原因で返済が滞ってしまった場合、自身が被災者であることを債権者側に伝える初動が大切です。たとえば甚大な天災の場合、居住地などから被災者に該当すると判断された場合、ある程度の配慮がなされる場合も想定されますが、その内容はすべての債権者間で均一ではありません。

債権者側からの指示があれば、被害状況を撮影した写真や、証拠となる公的報道の内容など、証明に有効な資料を準備して提出してください。ちなみに債務整理はあくまで一個人の事情に基づく金銭トラブルの和解案であり、被災者だから公的補助がなされる、負債額そのものが軽減されるといった配慮は一切望めません。

誤解から被災を理由に、無意味に音信不通状況を中長期化させてしまうと、自身をさらなる窮地に追い込んでしまい兼ねず注意が必要です。また火災その他の理由で居住地が変わる場合も、返済継続の意思を伝える意味でも、債権者全員を含めた関係先に、自ら新住所を報告してください。

万一郵便局への転居に伴う転送依頼を忘れ、表札が掲げられていない旧住所に督促状が配達されてしまえば、見知らぬ第三者に債務整理とトラブルの事実を知られてしまいます。借金の自力返済期間中は、月々の送金だけでなく、関連するすべてに対する細やかかつ迅速な対応を徹底しなければなりません。

イレギュラーな状況下の債権者側の対応と注意点

債務者のやむを得ない事情による延滞であると、債権者すなわち債権回収業者側が判断した場合、その後の展開として、次のような譲歩対応の事例が報告されています。まずは病気やケガなど、通常の勤務が一時的に不可能であり、債務者に回復次第の返済再開の意思が確認された場合に、一時的な返済義務が凍結されたケースがあげられます。

この期間中は延滞損害金の加算もなく、債務者が回復して復職次第、従来の和解案に沿った返済を再開するプランの提案です。また天災や人災が原因で住居を失った、自責が見当たらない原因で失職したことが証明できた場合にも、同様の対応がなされたケースが確認されています。

ただしこれらはあくまで一時的な配慮であり、債権者側としてはあくまで、和解案に基づく全額回収を着地点と見据えての対応です。債務者側がこれ幸いと返済再開を引き延ばす、自ら定期的な近況報告を怠るなど、不誠実な対応に及ぶことは許されません。

いずれも債権者側の「情」による譲歩であり、甘え続けられるものではなく、返済再開が可能な体制の構築に努めねばなりません。ここでのポイントは「後手に回らない」姿勢です。債権者側に不安や疑念を抱かせないためにも、先方から確認が入る前に、自身の所在と現状、そして返済継続の意思を、逐一報告してください。